プラチナ・ラブ

放課後。

俺の面談は三番目。

俺の番まであと30分近くあった。

タカさんもまだまだ来ないだろうし、俺は校内をブラブラすることにした。


だけど……


「あ、いた。大翔!」


可愛らしい声が聞こえてきて、振り返ると花音が俺に駆け寄ってきた。


「どうした?」

「どうした?じゃないよ。
もう瀬和さんが大翔の教室の前で待ってるよ」

「は?」


俺は慌ててケータイで時間を確認した。

まだ最初の奴の面談が始まって五分ぐらい……。


「……早くね?」

「すごく表情固かったよ。
何かあったの?」

「あぁ、緊張してるらしい。
初めての保護者としての三者面談だからな」

「そっか」


花音は少しずつタカさんに心を開き始めている。

タカさんも嬉しそうだし、花音も楽しそうで。

そんな二人の姿が見れることが俺にとっては嬉しい。


「大翔、行こ」


俺の制服の裾を引っ張る花音。

そんな仕草が可愛くて、俺は花音の腰を引き寄せて軽く触れるだけのキスをした。


「ちょっ……ここ学校っ……!」

「誰もいねぇよ」


たまにはいいだろ。

最近、いろんなことがありすぎてゆっくりできてなかったし……。


「タカさんのとこに行く前に、ちょっと充電」


そう言いながら俺はそっと花音を抱きしめた。


小さくて華奢ですぐに壊れてしまいそうな花音の体。

絶対に手放したくない……俺にとっての光。


< 201 / 226 >

この作品をシェア

pagetop