プラチナ・ラブ

「下手に恋なんかしたら自分も相手も傷つく。
……花音は自由なんてないって……よく言ってるわ」

「……自由なんてない、ね」


花音のあの辛そうな顔……。

あの顔が……頭から離れない。


「……安心しろよ」

「え？」

「花音が俺と話すのは……多分、俺とアイツが似てるからだと思うぜ」

「似てる……？」

「……誰からも愛されたことがなくて……家が嫌いなとこ」


沙羅が目を見開いた。

直感で何かを感じ取ったんだろうか……。


「アンタ……」

「……同類だって思ってんだよ。
だから大丈夫だ」


俺は体の向きを変えて足を前に進める。


「……もう帰るわ。
じゃあな」


それだけ言って、沙羅に背を向けて歩き出す。

同類……。

アイツにとってはただそれだけ。

でも、俺にとっては……

……俺にとっては何だ？

分かんねぇ……全く。


「……全然大丈夫じゃないじゃない」


この時から沙羅は……すでに俺の気持ちを見抜いていたのかもしれない。