プラチナ・ラブ
「……失礼します」
わざと音を大きく立ててドアを閉めた。
……何なんだよ、あのおばさん。
本当に人間かよ。
どんな頭してんだよ……。
……帰ろう。
そう思って顔を上げて……俺は驚愕した。
「……花音……」
……花音が……学園長室のドアのすぐ横の壁に寄り掛かって……うつ向いていた。
「……聞いてたのか?」
俺が聞くと、花音はコクリと頷いた。
よくは見えなかったけど……花音は泣いていた。
母親からのあれだけひどい言葉を聞いたんだ……無理もない。
……俺は震える花音の体をそっと抱きしめた。
「……俺がいるから」
「っ……大翔……」
「……俺が……守るよ。
花音のこと……」
……だから、泣かないで。
泣き顔なんて……見たくないから。