なないろブーケ
真冬の向日葵
小学校の卒業文集に将来の夢は
「小説家」と書いた。
あの頃の私はやっぱり
幼かったんだと思う。
今は夢に対して
どう思ってるのかわからない。

その夢を大事にしてるのは
間違いなく私ではなく母だ。
中学二年の読書感想文に
「さすが愛美ちゃん!小説家の才能が
バッチリママには見えるわ!」
なんて言って満面の笑みを
見せるくらいだから。
その文章が隣に住んでる
五歳年上の里美お姉さんが
中学一年の時に書いた読書感想文
だなんて知らずに。
里美お姉さんは名門の私立中学に
通ってたから先生にバレる心配はない。
たぶん、母も気付かない。

残念なことに大丈夫だった。



< 1 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop