なないろブーケ
その比較社会の話を
聞かせてくれたのは、
隣の里美お姉さん。
小、中、高と名門に通う
彼女の家柄は親戚もひっくるめて
医療関係で、二人いるお兄さんは
もちろん二人共医者になった。

そして彼女も名門高校を
トップクラスで卒業して、
三年制の看護学校へ
特待生のような形で進み、
傍目からみれば
最高の人生を歩んでいた。
相も変わらず成績優秀で、
いつでも笑顔、
で花に例えると常夏の向日葵
みたいな女性(ヒト)だった。


でも、看護学校を卒業する
はずだった去年の七月、
里美お姉さんは急に
その看護学校を辞めた。
私は彼女も彼女の兄弟たちと同
じように看護師になるものだ
と思っていた。
それも小学校の低学年の頃から。
確かに当時の彼女も
そう言っていたから。
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