不思議な扉
日常からの解放
うーん…
目覚ましの音楽が朝だと知らせている。
ウンザリした美菜をベッドを降りて横にある鏡が教えている。
今日も1日が始まるのだ。
美菜は制服を着て一階のリビングへ降りた。わかってはいたけど誰もいない。いるのはテーブルの上に置いてある朝ご飯。今日も1人朝ご飯に「おはようございます。」と挨拶をする。
美菜の家は母子家庭だ。
美菜は母子家庭でも寂しくなかった。お母さんがいればそれだけで安心できたのだ。しかし母親は夜の仕事をしだしてから変わってしまった。
愛がなくなってしまった。
美菜は朝ご飯を片付け家を出た。
今日の空は綺麗な青だな。
そんなことを思いながら学校までの道を歩いていた。
「気持ち悪い」
美菜は青い空が憎く思えた。
この世が全て黒く染まればいいのに。
何気なく繰り返される日常が美菜にとっては腹立たしいものになっていた。
毎日同じことの繰り返し。
朝起きて、1人で食事をすませ、学校に行き、愛想よく面白くもないのに笑って話して勉強してテストして帰宅。そして夕食をとり入浴し予習をして寝る。
私は一体何をしてるんだろう?
美菜はわからなくなっていた。
生きる意味が。
そして求めていた。
日常からの解放を。