ハツ∞コイ~中学編~
楽しかったです
18日。
この日は夏祭り。
そして上条君が転校してしまう前日。
「お待たせ」
「か、上条君」
上条君はふっと笑い言った。
「さぁ、行きますか」
ヤバいよ…
ドキドキするっ。
「あ、わたあめ…」
わたあめを見ると思い出す。
小さい頃ここで迷子になったとき、同じくらいの男の子がわたあめをくれたこと。
「はい、どうぞ」
「えっあっありがとっ…お金……」
上条君は笑いながら言った。
「いいてすよ。俺が喜瀬さんにあげたかっただけですから」
今日改めて上条君が優しいことを実感する。
「俺ももらっていいですか?」
「あ、うん」
いいよね?
友だちだから。
────ドォンッ
打ち上げられた花火と同時に上条君は私のわたあめを食べた。
てゆか!
花火どころじゃない気がっ。
「綺麗ですね」
「うん…」
「楽しかったです」
「私も」
楽しんでくれてよかった。
心のそこから思った。
「─────き…」
「花火の音で聞こえません」
「ありがと!」
「こちらこそ」