落書きされた心
「俺はどうして、瑠維を2回も手放さなきゃなんねーんだろ」
泰雅は哀しそうに笑う。
「・・・じゃあ、あの時の言葉は嘘?」
「嘘に決まってんだろ。有り得ねえよ、好んでお前を手放すなんて」
涙が溢れてきた。
ああ、良かった。
彼は、あたしを思って離れて行ったんだ。
彼の意志じゃないんだ。
彼の気持ちじゃないんだ。
「・・・付き合おう、泰雅」
「は?何言ってんだよ・・」
「泰雅が何の病気かなんて聞かない。
ずっと泰雅の傍にいたいの。」
「・・・見れば分かるだろ?俺はもう死ぬ」
「誰だっていつかは死ぬ。
泰雅はその日を知ってしまっただけ。
これからも一緒にいたい」
「死に顔なんて見せらんねーよ」