落書きされた心
幸せ
01
「ねえ、泰雅。
結婚したいね」
「・・・ばーか。お前を残して逝きたくねーよ」
「・・・馬鹿はどっちよ、馬鹿」
冗談なんかじゃない。
本気で心からそう思うの。
もうすぐ死ぬという人に
こんなこと言うのは可笑しいのかな。
「瑠維、俺、お前と出会えて良かった」
「・・・・・・あたしも、良かったよ」
毎日のように彼は嬉しいことを言う。
けど、その言葉には
もうじき死ぬとう事実がぴったりとくっついている。
次第に彼の容態は悪化していく。
ゆっくりだけど着実に死へと近づいていった。