If
俺は気が付くと、春奈と初めて会った場所に来ていた。
そして、春奈がしゃがみこんでいた場所に俺はしゃがみこんでいた。
俺は、自然と涙が溢れてきた。
どうすることも出来ない自分が嫌だった。
そして、俺は聞き覚えのある声がする方を見た。
すると、ピンクの傘を差した春奈が笑顔で中年の男と歩いていたのだ。
俺はどことなく淋しさを感じた。
俺の中で、春奈は泣いているものだと思っていたからだった。
しかし、それとは反対に満面の笑みだった。
それを見たら、余計に悲しくなり、俺はそのまま下を向いていた。