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そして、受話器から聞こえてきたのは春奈の声ではなく、知らない女性の声だった。
「もしもし?」
「貴之さんですか?」
「あっ、はいそうですけど・・・」
あまりの突然のことに驚いたが、とりあえず話を聞くことにした。
「私、春奈のマネージャーで田中と申しますが、春奈が病院に運ばれてしまったんです。春奈はずっと『貴ちゃん、貴ちゃん』と寝言を言っていまして・・・なので、貴之さんにお電話したんですけど・・・」
俺はこの人は何が言いたいのか分からなかった。
ただ分かっていたことは春奈が病院に運ばれたということだけだった。