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中へ入ると、大きな個室だった。




春奈は手首に包帯を巻かれた状態で眠っていた。



その包帯を見たとき、俺は胸が押しつぶされそうなくらいに苦しくなった。



「それでは、私は春奈の着替えを取りに戻りますのでよろしくお願いします」


「はい・・・」



田中さんは帰って行った。



田中さんが帰った後、俺は自分が情けなくなり涙が出そうになった。



後悔しか残らなかった。



最後に電話をくれた日にどうして掛け直さなかったのか、掛け直して、話を聞いてあげれば自殺未遂をさせることはなかったんじゃないか、そんなことを思っていたら涙が零れそうだった。
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