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そんなある日のことだった。
俺が春奈の病室から出た時に、田中さんから声をかけられたのだ。
「貴之さん、ちょっといいですか?」
「はい・・・」
俺と田中さんは近くの椅子に座った。
「貴之さんには本当に感謝しています。以前の春奈は仕事をしている時以外は、ほとんど作り笑顔しか見せなかったのに、あなたに会ってからというもの春奈の笑顔が増えたような気がするんです。だから、本当に感謝しているんです。貴之さんのおかげで、明後日には退院できるみたいですし・・・」
「いえ、そんな・・・」
田中さんは深々と頭を下げた。俺もなんだか恐縮してしまった。