voice-ヴォイス-
次の日の夕方、いつものように練習をした。
メンバー全員、何事もなかったかのように海に接する。
そろそろ暗くなる頃、解散となった。
海は帰る前にずっとみんなに聞きたかったことをホワイトボードに書いて質問した。
『みなさん、最近私に隠してることありますよね?』
みんなの顔が強張った。
海はその表情を見るだけで胸が痛んだ。
『それはホームページに投稿された私への批判コメントについてですよね?』
みんな何も言わず、顔を見合わせて痛そうな表情で苦笑した。
この話が出た瞬間、いつも優しい尊の表情が不機嫌そうな顔になった。
海は尊のこんな表情を見たことなかったので戸惑う。
『私はこれからどうすればいいの?』
「海はなにもしなくていい。こんなアンチ、無視すればいいんだ。」
そう尊が言う。
声色も不機嫌そう。まるで自分が怒られてる気分でドギマギする。
でも、こういうの無視していいのかな?
海は戸惑う。
「この話はまた明日にしよう。もう暗くなる。海の家の人に心配かけるから帰れ。送ってくから」
尊は気まずそうに自分の愛車のキーを取り出した。
たまに送ってもらうことはあるが、こんな不機嫌な尊に送ってもらうのは初めて。
自分一人で帰った方がずっと気が楽。
だけど外はだいぶ暗くなっていて断れなかった。