voice-ヴォイス-
家の前に到着した。
「海、明日学校休みだよな?」
明日は土曜日。
海が頷く。
「練習来れるの?予定とかない?」
予定はとくにはなかった。
学校に友達はいないし、雫は最近忙しそうなので会えていない。
海は首を横に振ると、尊は優しく笑って頭を撫でた。
「じゃあいつでもいいからおいで。俺、一応バイト休みだし、多分いるから。留守でも勝手に鍵開けて入っていいからな」
加入オーディションの後、海は家のスペアキーをもらっていた。
海は嬉しそうに頷く。
そしてシートベルトを外して車を降りた。
「じゃあな。」
尊は手を振って車を発進させた。
海は尊の車が見えなくなるまで見守った。
尊もみんなもとても心配してくれていた。
正直、自分はバンドにいてはいけないのか?と思っていた。
だけど、みんなが応援してくれてる。頑張ってくれている。
自分も頑張るべきなのだ、そう自分自身に言い聞かせた。