voice-ヴォイス-
次の日、お昼過ぎに尊(タケル)の自宅に向かうと、尊と洵(マコト)がいた。
洵もバイトが休みのようだ。
尊と洵は作曲活動をしていたようだ。
尊が「お、早いね。」と声をかけて微笑む。
いつもの尊だ。
『勉強以外にすることなかったんで来ちゃいました』
とケータイで返事を返す。
「勉強?!えらいなー。俺なんて学生の頃、音楽と遊びしかしてなかったもんな。」
『居候させてもらってる身だし、両立させるってのがバンドを許してもらった条件なのでやらなきゃいけないいです』
と苦笑した。
まあ、勉強は嫌いな方でもないし、昔からちゃんとしてきたので苦ではない。
『作曲ですか?』
海はギターをケースから取り出し、準備してから覗き見する。
「そう。新しい曲作り。」
『曲作れるとかすごいなー。あたしなんてただ弾くしかできないもの。文章とか作るのも苦手だし』
海(ウミ)がそういうと、尊が照れくさそうに「すごくないよ」と笑った。
すると誰かのお腹が鳴った。
尊のだった。
「あ、作曲に夢中になりすぎて何も食ってないこと思い出した、」
と尊が笑う。
「そーいやぁ、食ってなかったな。俺も腹減った」
と洵も笑う。