voice-ヴォイス-
『あたしでよければ何か作りましょうか?』
と申し出ると、尊も洵も目を輝かせた。
「マジで?!いいの?!」
そんなに嬉しそうに喜ぶことなのか?と疑問になった。
一階にある台所に行くと、理由がよくわかった。
食材を置いてあるラックにはカップラーメンやら、スナック菓子、レトルト食品といった、まともな食材は置いていない。
冷蔵庫もちらほらと野菜が入ってはいるが萎びれて元気なし。
他には生卵やマヨネーズなどの調味料があるだけ。
お酒やお茶、ジュースなどの飲み物・アイスクリームの買い置きなどはたくさんあるが、ここにもまともな食材は入っていない。
この人たちは普段、どんな食生活をしているんだか。
「いや~、女の子に見られると恥ずかしいんだけど、まれにしか料理しないんだよな。しかも味が微妙なの。」
と苦笑する尊。
ここに入っているもので何が作れる?
海は冷蔵庫で元気をなくした野菜たちを見つめた。
ご飯は炊けていた。
冷蔵庫に生卵があったため、卵かけごはんなどで済ますことも多いのだろう。
よし、これならできるか。
海は卵とご飯、野菜の使える部分だけを切ったものを一緒に炒め、シンプルな味のチャーハンを作った。それに余った野菜で作ったみそ汁を添えて。