voice-ヴォイス-
闘い宣言メールが来てから時間にして1時間30分くらいが経っていた。
嵐のような1時間30分だった。
「ファン、一人減っちゃったけど、これは仕方ないよな」
と尊が呟くと、
「あんなやつファンじゃねぇ。」
と洵が呆れたように吐き出した。
「今みたいなやつは多分たくさんいる。表現には出さないけど感じてるやつはきっとたくさんいる。でもさ、確実に俺らを、海を含めた俺らを応援してくれる奴らもたくさんいるんだ。」
「俺らは応援してくれる人のために精一杯音楽をやっていこう。今は大変だと思う。だけど応援してくれる人を増やしていくんだ。絶対夢は叶う。叶えて見せるんだ」
洵の言葉に海も尊も頷いた。
ああ、本当にこのバンドに入ってよかった。
尊さんにも
洵さんにも
優(スグル)さんにも
凌(リョウ)さんにも
出会えてよかった。
お父さんに買ってもらったこのギターで、
お父さん、ありがとう。
ありがとう―――。
ありがとう―――。
「、、、ほんとによかった」
かすれ気味ではあるが、はっきりとした女の子特有の高い声が耳に入った。