voice-ヴォイス-
そろそろ帰らないといけない時間帯に差し掛かったころ、洵が声をかけてきた。
「よかったな。ため込んできたストレスから解放されたんだ。もう一人で抱え込むなよ」
「うん……。洵さんに聞いてもらえたから、それが心の支えになったの」
そう笑って答えると、洵が海の頭を撫でた。
「それ最高の褒め言葉。ありがとな。これからは楽しい思い出作ろうな」
と不器用に笑った。
「洵さんがもっと取っつきやすくなったら最高に楽しくなるのになー。表情硬ーい。」
と海が冗談交じりで言うと、『うるさい』と洵は海を軽くデコピンした。
最初は仲良くなれるなんて思えなかったのに。
そう思うと嬉しかった。
その後、2人はギタリスト同士として、好きなアーティストの話や音楽の話に花を開かせていた。
凌と優はお酒を入れていたので陽気状態で2人ではしゃいでいる。
尊はそんな2人に巻き込まれながらも、楽しげに話している海と洵の背中を淋しそうに見つめていた。