voice-ヴォイス-
海が帰る時間になり、いつものように尊に送ってもらうことになった。
他のメンバーに別れを言って尊の愛車に乗り込む。
尊は適当な世間話を織り交ぜながら運転している。
いつもこんな話、する人じゃないのに。と疑問に思いながら返事をしていると、理由はわかった。
「洵と仲いいよね。なんの話してたの?」
どうやらこれが本題だったらしい。
「好きなギタリストとか音楽の話。結構共通点一緒で。あと相談事乗ってくれたりしたから。」
「そうなんだ」
ふて腐れたように返す尊は淋しそう。
「まさか、嫉妬?」
海が冗談交じりで笑いながら言うと、尊は小声で『そうかもね』と呟いた。
その声はしっかり耳に入ってきた。
え、それって?
海はドキッとしてしまった。すると尊が車を停めた。
どうやら家の前に着いたらしい。
「さ、着いたよ。遅くなっちゃったから家の人に謝っておいてね。」
と尊はまるで海を追い出すかのように別れを告げた。
海を追い出すように車から降ろした。
まるで照れ隠しのような尊の素振り。そしてそそくさと帰って行った。
「尊さん、、、あたしのこと。。」
好き?
そう考えてしまって顔が火照った。
「まさかね」
海はそう思った自分に笑って家の中に入った。