voice-ヴォイス-
「今、あいつらは?」
「今みなさん出ていていないんですが、もうすぐ帰ってくると思いますよ。中でお待ちください。お茶出しますよ」
と言うと朔が笑った。
笑われるようなこといったか、今。
「まさかこの家に来て“お茶だします”なんて言葉聞けるなんて思わなかったよ。」
海はその笑いに納得した。
この家は海が来ない前まで、台所にまともな食材が置いていなかった。
それなのにお茶なんて考えられない。
海に『お茶くらい置かなきゃダメだ!来客が来たらどうするつもりだ』と言われて急須や湯呑などのセットを置いたくらい、ここには何もなかった。
「それは納得です」
と海が苦笑すると、
「でしょー?」と朔は笑い続けてる。