voice-ヴォイス-
「人は俺らを大学も入ってなければ就職もしてない負け組だ。みんなそうやって口々に俺らをバカにした。実際はそうだった。
集中できないって勉強から逃げて、努力して面接練習や会社探しもしない。ただ逃げてただけの負け組」
優(スグル)がベースの弦を軽く弾きながら言う。
「でも俺らはそうは思わなかった。音楽やってることが楽しくて、それだけで楽しくて、フリーターとしてバイトで生活頑張って音楽続けた。それなりに苦しかったけど苦じゃなかった」
凌(リョウ)はしみじみに語る。
そうやって生まれたのがフォークロ。
「その時は楽器弾いてるだけで、今の投稿するっていうスタイルはまだとってなかったし、ファンなんてまったくいなかった。」
「そんな時に尊(タケル)は病気になった」
海(ウミ)は『やっぱり』と思ってしまう自分が嫌になった。
「がんだった。ギリギリ初期状態の咽頭がんだった。」