voice-ヴォイス-




「海(ウミ)はたくさん傷ついて声を失った。だからまた俺のせいで声を失ってほしくなかったんだ。だから尚更言い出せなかったんだ」



尊は苦笑して、



「って、言い訳くさいよな」


とおどけた。




いつも笑ってる尊。


いつも笑顔に助けられてきた。



いつも笑ってる尊。


それはどんなときも。



楽しいとき、
嬉しいとき、



そしてツラいときも。


苦い顔をしてまで、笑ってる。




「なんで?!なんで笑ってるの?!」



海は笑う尊に泣きながら怒鳴りつけた。



「なんでツラいときも笑うのよ!なんで苦しそうに笑顔作るの?!泣けばいいじゃん!あたしの心配もうれしいけど、よっぽど尊の方が心配だよ!」



また止まらないほどの涙で顔が濡れる。



尊は俯いた。





< 143 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop