voice-ヴォイス-
「海(ウミ)はたくさん傷ついて声を失った。だからまた俺のせいで声を失ってほしくなかったんだ。だから尚更言い出せなかったんだ」
尊は苦笑して、
「って、言い訳くさいよな」
とおどけた。
いつも笑ってる尊。
いつも笑顔に助けられてきた。
いつも笑ってる尊。
それはどんなときも。
楽しいとき、
嬉しいとき、
そしてツラいときも。
苦い顔をしてまで、笑ってる。
「なんで?!なんで笑ってるの?!」
海は笑う尊に泣きながら怒鳴りつけた。
「なんでツラいときも笑うのよ!なんで苦しそうに笑顔作るの?!泣けばいいじゃん!あたしの心配もうれしいけど、よっぽど尊の方が心配だよ!」
また止まらないほどの涙で顔が濡れる。
尊は俯いた。