voice-ヴォイス-
「そうだけど、尊が泣いてるイメージなくて」
「海、俺は生き物なの!ちゃんと泣きますから!」
そう尊が噛みつくから、もっと笑えてくる。
すると尊が真剣な顔で泣き始めた。
「あーもう。俺、音楽続けたい。歌いたい。声失うなんて絶対無理。死にたくない。入院もヤダ。検査もヤダ」
まるで子どもの駄々みたい。
「大丈夫。きっともう発症しないよ?そう信じよう?」
海は少し躊躇ったが、尊を抱きしめた。
これは好きだから、とかじゃなくて、仲間として。
尊はびっくりしていだが、すぐに状況を理解して海に応えた。
しばらく抱き合って泣いた。