voice-ヴォイス-




「喜ぶのはまだ早いよ」


洵が呟いた。



歓喜のムードだった部屋に緊張感が漂った。



「知り合いにバンドマンがいるんだけど、メジャーデビューってのは毎年のようにたくさんの人がしているらしい。」


「へぇ、、、」


「でもその先を掴めるのはたったの数個だけ。デビュー曲がいくら流行ってもその次が輝かなくなったって人たちをたくさん見てきたらしい」



そのくらい厳しい世界なんだ。




厳しい現実に緊張し始め、メンバーは黙り込んだ。



「じゃあさ、俺たちはどんなに輝かなくなってもいい曲できるまで歌い続けよう。どんなに抽象的な言葉で叩かれたって、バカにされたって、俺たちは何が何でもその世界に掴まって離れないんだ。いつか認められる日がくるまで堪えればいいんだ」


尊が沈黙を破った。




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