voice-ヴォイス-
数日後、メジャーデビューに向けてのオーディションが開かれた。
発掘オーディションというわけではないのでライバルがいるわけではなかったが、負けん気が海の心の中にはあった。
それは出来ないのではないか、という弱気な自分に対して。
オーディションが決まった日から、練習を遅くまでした。
海も暇があれば学校でも自宅でも練習した。
みんなで笑ってステージに立てる日を夢見て。
当日、練習の甲斐あってか、ミスもブレもなく演奏できた。
結果は数日かかるのかと思われたが、その場で行われた。
「私たちの求める音楽性そのものです。合格とさせていただきます。」
その一言にみんなで抱き合って喜んだ。
人前など関係ない。
夢にまで見たメジャーデビュー。
この瞬間を夢見て練習してきたし、動画サイトの投稿だって励んできた。
みんなでレコード会社のみんなの関係者の人たちに「ありがとうございます、よろしくおねがいします」と深々と頭を下げた。