voice-ヴォイス-
「じゃあさ、デビューするからって大きく変わろうとするんじゃなくて、今までどおりに音楽続けていけばいいんじゃないかな?」
海の一言にみんなが振り向く。
「今までどおりって?」
「これまで通り、ファンを大事にしていこうってこと!どんなにあたしたちがビックになったって、これまで通り、みんなに近い存在であれるバンドになろうよ。あたしはそうなりたいなー」
「そういうのいいな」
「確かに。今、“会いに行けるアイドル”とか流行ってるもんな。人気者だって遠い存在じゃなくなってるとこあるもんな。」
海の提案にみんなが食いついた。
「まぁ、それは人気が出たら、の話だけどなー」
凌が缶チューハイをあおりながらおどけた様に笑った。
みんなが笑う。
そのツッコミに部屋の中が一層、明るくなった。
でもそれは笑い事じゃない。
これから厳しいことがいっぱい待ってる。
人気が出るまでに苦労がいっぱい待ってるのだ。
それを乗り越えられて人たちが大きなステージに立てる。
海はそれを夢見て頑張って行こう、苦しくても耐えていこう、と誓った。