voice-ヴォイス-




「初めてはそんなもんだよ。でもすぐ慣れてくるって。俺もそうだった」


優が笑う。


「優も?」


「うん。多分メンバーみんなそうだよ。失敗しないかなとか、客の反応とか気にしちゃってさ。でもやっぱり音の迫力とか客の歓声とかにテンション上がってきてかなり楽しくなってくるんだ」


優はクセになるぞ。と意地悪そうに笑った。



「そうなるといいな」


海は少しだけ、緊張がほぐれたような気がした。





リハーサルが開始し、それだけで音量の迫力がすごかった。


尊の家とは比べ物にならない。


デビューが決まってから、レコーディングやらでスタジオで演奏させてもらったりもしているが、それよりも迫力がすごい。



それだけで楽しかった。


緊張はさらに少しほぐれた。



緊張せずにいつものように演奏すればいいんだ、と心がけた。





リハーサルも終了し、開場が始まる時間が刻々と迫ってきた。


メンバーは控室で本番の準備を始めた。



海は準備をしながら何度もギターを触ったり、セットリストを確認したり、準備を念入りにした。


< 161 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop