voice-ヴォイス-
尊(タケル)は救急車で病院に運ばれた。
救急車の中には誰も付き添わず、メンバーは搬送される病院までタクシーで向かった。
タクシーの中は静まり返り、空気が重かった。
ラジオの音がやたらに大きく聞こえる。
ドライバーのおじさんも居心地がかなり悪そうだった。
みんなが病院に着くと、尊は緊急治療室とやらに運ばれていて、会うことも顔を見ることも出来なかった。
みんなはその部屋の前の椅子に座り待った。
みんな、ガンの再発なのでは?ということを思っても誰も口には出さなかった。
ただただ何事でもないことを祈るだけだった。
そう、尊は頑張りすぎたんだ。
だからその疲労による疲れなの。
それか。そう。貧血なんだ。
あれってツラいよね。あたしもなったことあるもん、、、
海(ウミ)は心中で独り言を言って気持ちを紛らわせた。