voice-ヴォイス-




何度も何度もそう思っていると、だんだんそんな気になってきた。


そんなとき、緊急治療室の扉が開き、尊の乗ったストレッチャーが出てきた。


みんな尊にバッと近寄るが、



「今日は面会はお控えください」


と看護師が淡々とした口調で言い、尊をどこかに運んでいった。


あの言い方に腹がたつが今はそれどころじゃない。



面会、控えなきゃいけないくらい状態が大変なの?



するとまた緊急治療室から先生が出てきた。


みんなその先生に駆け寄る。




「あの、尊はどこか悪いんですか?!」



その先生は少し驚いた表情をした。


「ああ。君たちが尊くんのバンドの仲間か」



尊を見知った人物のようだ。


多分、前に入院していたときの担当医だったのだろう。



その先生は困った表情をした。



「本日はこういった個人情報はご両親同意が必要なのだが、尊くんのご両親から“もしバンドの仲間を名乗る男の子たちが来たら、私たちの同意無しで語ってあげてください”と前から言われていたから、、」



そしてみんなは尊の身体のことを、その先生から聞くことになった。


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