voice-ヴォイス-
さすがにその一言は差別的すぎる。
一瞬にして室内が険悪モード化する。
「洵、お前、サイテーだな!言っていいことと悪いことの区別もできねぇのかよ!人間としてどうなんだ?!」
優がさっきまでの明るい声ではなく、低くて大き目な声で怒鳴った。
「メンバー加入したところできっとアンチが絶対でてくると思う。標的はアンタ。いずれこれ以上に傷つくことが待ってる。だから敢えて言ってんだ。悪いか?」
と洵が海を睨む。
……ああ。今のは悪口とかじゃなくって、あたしのこと思って言ってくれたんだ。
それに気付けて、胸の痛みは緩み、張り合う覚悟ができた。
さっきのボードの文字を荒めにフェルトの黒板消しで消して、新たな文字を書く。
【平気です。私、それでもみなさんと音楽やりたいんです】
洵が苦い顔をした。