voice-ヴォイス-
放課後も軽音部の部室の一角を借りて練習にいそしんだ。
尊の自宅でもあるスタジオに行けば思いきり練習できるだろうが、まだ正式メンバーでもない自分が練習のためだけに行くのは気が引けた。
それにこの軽音部には同じ趣味持ちの同世代がたくさんいる。
正直、わからないことの方が多く、不安だったので、同世代の方が気軽に聞きやすいというものだ。
弾くコツを教えてもらったり、苦手なところを弾いてもらい、見本にさせてもらったりした。
オーディションの前日までこの練習法でレッスンした。
軽音部の先輩は、
『君をここで手放すのは惜しいなぁ。覚えとかいいし。もし、オーディション落ちちゃったら軽音部来なよー。いつでも歓迎だから』
と冗談混じりに言われた。
うれしいけど絶対そんなこと自分にさせない。
軽音部も楽しかったけど、あの人たちと音楽した方が絶対もっと楽しいはずだもん。
あたし、頑張らなきゃ。