voice-ヴォイス-
オーディション当日。
終業後、尊(タケル)の一軒家に向かった。
昨日の夜は不安と緊張で寝付けなかった。
だが今では不思議と緊張はなかった。
むしろ、ワクワクしている。
家につき、インターホンを押すと、待ち望んでいたのかすぐに尊と優(スグル)が出迎えてくれた。
「久しぶり。さ、上がって上がって」
と急かされたので、何の軽い挨拶もなしに靴を脱いで上がった。
2階のスタジオに入ると洵(マコト)は椅子に座りながらギターの手入れをしていた。
凌(リョウ)はドラマを軽く叩きながら練習している様子だ。
すると洵は海(ウミ)に気づき、真剣な表情で出迎えた。
その表情に緊張する。