voice-ヴォイス-
一曲目はわりと得意なタイプの曲だったので難なく弾けた。
だが問題は二曲目と三曲目。
どちらにも苦手なパーツがある。
それを乗り切れればなんとかなるだろう。
そんなことを考えながら始まった演奏に驚いた。
今日までひとりで弾いてきたのでわからなかった人と奏でる一つの音楽。
こんなに楽しいだなんて。
海はさっきまでの緊張が嘘みたいに楽しく音を奏でた。
いつの間にか、曲は三曲とも弾き終わっていた。
もう終わり、、、
あっという間だった。こんなに音楽が楽しいだなんて。
そこで海ははっとした。
あたし、今、失敗とかしてたかな?
夢中になりすぎて自分の演奏がどうだったかわからない。
演奏の楽しさと、合否の結果についてすごく胸がドキドキする。
海は迷わず、愛用のギターを握りしめて洵を見つめた。