voice-ヴォイス-
洵は苦い顔をした。いや、これは驚いた、という表情なのか。
洵は感情表現があまり上手くない。
初対面に近い海にとって、表情だけで洵の考えてることが察せなくてドギマギする。
すると尊と優と凌が駆け寄ってきて、海の髪がくしゃくしゃになるほど頭を撫でてきた。
「海、やったな!間違いなしに合格だ!」
「お前、やるなぁ!」
え。。
合格できたという現実が一瞬、捉えられなかった。
ドキドキする胸を押さえて、洵を見た。
洵はそっぽを向いて、
「、、上出来だ。ここまで完璧にできるなんてな」
と苦笑した。
彼にとってのその表情はどういった感情表現なのか
合格できたんだ、あたし。
これからあたしはこのバンドの一員になれるんだ。