voice-ヴォイス-
コメントだけではない。
ここ最近の動画サイトに投稿した演奏動画の視聴数が増えた。
海もバンドによく馴染んできたし、演奏の腕前もオーディション時に比べて上がった。
海にとっての反響はそれらだけではなかった。
学校にいつものように登校したときだ。
朝、教室に入って机に鞄を置き、席に座った時にクラスの女子が数人近付いてきた。
海には雫(シズク)以外の友達はいない。
しかも雫は学校が違うので、ここの学校には一人も友達はいない。
それは喋れないからというコミュニケーションの問題と、自分が他人との交流を拒んでるから。
その子たちはクラスメイトとして知ってはいるが、遊んだこともないし話したこともない。
「ねぇ、青咲さんってフォークロのメンバーになったの?!」
どうやらファンらしい。
海は頷く。
女子たちは『すごいすごい!』とはしゃぐ。