voice-ヴォイス-
「ゴメンな」
準備をしているときに何気なく背中から声をかけられた。
洵だ。
なぜ彼が謝っているのかがわからない。
何か思い当たることがあるかと考えたがなかった。
海は洵の方を向いて首を傾げた。
「いや、俺さ、お前と加入だのって揉めた時、差別的なこと言っただろ?それをいつか謝んなきゃって思ってたんだけど、あいつらの前だと言い出せなくて。」
それをずっと気にしていたなんて。
優しい一面を持っている人だ。
海はケータイのメール画面で
『気にしてないのでいいですよ』
と返事した。
いつもならホワイトボードに書くか紙に書くかで返事をするが、こっちの方が字を書く手間が省けて楽だ。