voice-ヴォイス-
洵と海は部屋にある椅子に座り、台所で淹れてきたコーヒーを飲みながら話した。
『私の声はちょうど5年前から出なくなりました。失声症っていうストレスの病気で』
「ストレス?」
声を失うほどのショックを受けたというわけありに洵の表情は暗くなる。
『そう。その原因は両親の事故死です。私、その事故現場見ちゃって』
海はその悲惨な場面を思い出したのか、苦しそうに胸を押さえた。
「おい、大丈夫か?!気分悪いなら話さなくていいから」
海はそれでも首を横に振る。
『聞いてほしい。これをメンバーみんなに伝えるのはきついけど、誰か一人には伝えとかなきゃ。みんなの中で洵さんならって思ったんです。だから聞いてください』
誰かに聞いてもらった方が気が少しは紛れるかもしれない。