voice-ヴォイス-
『あたしはどうすればいいの?分からないの。どうしたら抱え込んでる思いを解放できるか』
海はかすむ目で洵を見つめた。
「これから忘れることできるくらい楽しい思い出作ればいい。自分に素直になればいい。きっと忘れることできるよ。急ぐ必要なんてないんだ。ゆっくりでいいから」
その一言が温かくて心地いい。
海は何度も何度も頷いて顔を手で覆っていっぱい泣いた。
洵はその間、ずっと頭を撫で続けてくれた。
ひとしきり泣いて落ち着いてきた頃にメンバーがスタジオに入ってきた。
偶然、みんなかぶったらしい。
「あれ?練習せずにお喋り?」
海と洵がギターそっちのけで、隣合わせで座っているので不思議に思ったようだ。