voice-ヴォイス-
事故後からお世話になっている叔父と叔母はとても優しかった。
高校受験の時には夜食を作ってくれたり、毎日学校はどうだったかと気にかけてくれたり。
声がでないというハンディーがある分、心配なのだろう。
あたしは自分から何がしたいとか、何が欲しいとか口に出すタイプでは昔からなかった。
叔母さんたちからは『もっと甘えてきてくれていいのよ』と言われてしまう。
でもそれができないのだ。
小さいころからそうだった。
誕生日何が欲しい?クリスマスは何が欲しい?
親に聞かれるたび、欲しいものがあっても『なんでもいい』と欲を出すのに躊躇い生返事ばっかりする子だった。
だけどいつだったか、前にあるバンドにハマってギターが欲しくなった。