オトナの秘密基地
Justice
「私は……『和実』です」
「和実?」
さっきの会話を思い出しながら、慎重に話しはじめる。
「信じてもらえないかも知れません。
でも、私は昭和の和に実ると書いて『和実』という名前で生まれ育ちました」
「ということは……俺の……」
すかさず、そこから先の言葉を遮る。
都合よく誤解していて欲しいから。
「これ以上は言えません。
言えば、未来が変わってしまう可能性があります。
私にとってここは『過去の世界』です」
「過去の、世界?」
眉間に皺をよせて、旦那様は深く考えているけれど、多分全く頭の中で整理できない筈。
私でさえ、今でも意味不明なんだから。
「話の内容が、信じられないのだが……。
お前は和子の身体ではあるが、魂は未来から来た『和実』だという事か?」