オトナの秘密基地
「その通りです」
旦那様、すごい。
この時代の人に、SF小説ではよくあるタイムスリップなんて理解できないと思っていたのに。
でも、この時代だからまだ物の怪とか憑依なんていう事象として信じられるのかな?
事実、私は旦那様から見たらそういったものの類なんだろうけれど。
「では『和実』に聞きたいのだが……」
「待って下さい。
できる範囲でお答えする、これで勘弁して欲しいのです」
「……了解した。
和実はいつから和子に乗り移ってたんだ?」
乗り移る、ということは、やっぱり旦那様にとって私は物の怪のような存在なのね。
「防空壕の中からです」
「ああ、あの時からか。
何となく変だ、とは思っていたんだが。
では、なぜ和子の中に入っている?」