オトナの秘密基地
やっぱり。
旦那様はもう、戻って来られないだろうと覚悟を決めていた。
自分の事より、妻子の安全を切に願うその姿を、和子さんはいつも見ていたんだろうな。
「中田家は、大丈夫です。
だから安心して下さい。
安心して……」
安心して、行ってらっしゃいなんて言いたくなかった。
そう言わなくちゃいけない当時の風潮なんて私には理解しがたい。
言いよどむ私を見て、旦那様があとの言葉を繋げてくれた。
「家族が安心して暮らせる国にするために、行ってくる。
ただ、ひとつだけ教えて欲しい。
俺達はこれから千島へ行き、本土を守るために行動する。
これは、国のためになるのか?」
旦那様はもう、戻って来られないだろうと覚悟を決めていた。
自分の事より、妻子の安全を切に願うその姿を、和子さんはいつも見ていたんだろうな。
「中田家は、大丈夫です。
だから安心して下さい。
安心して……」
安心して、行ってらっしゃいなんて言いたくなかった。
そう言わなくちゃいけない当時の風潮なんて私には理解しがたい。
言いよどむ私を見て、旦那様があとの言葉を繋げてくれた。
「家族が安心して暮らせる国にするために、行ってくる。
ただ、ひとつだけ教えて欲しい。
俺達はこれから千島へ行き、本土を守るために行動する。
これは、国のためになるのか?」