オトナの秘密基地
私もちょっと照れつつ、呼びかけてみる。


「では征二さん、そろそろカツヤを起こしましょう。

そして、朝ごはんにしましょうね」


家族三人で食べる、最後の朝ごはん。

かまどの火加減が難しくて、おこげがいっぱいできてしまったけれど、征二さんもカツヤももりもり食べてくれた。


いよいよ、軍に戻る時間となった。

カツヤと私は、玄関の前で見送る。


「ねえカツヤ、父さん、カッコいいね。

カツヤや母さんが安心してここで暮らすために、父さんはこれから頑張るんだよ。

父さんに抱っこしてもらっておいで」


「はあい!」


父の抱っこと高い高いで、無邪気に笑うまだ2歳の子ども。

覚えていてくれるだろうか。

この広い空の下、故郷を守るために散った父の笑顔とぬくもりを。

どうか忘れないで欲しい……。
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