オトナの秘密基地
和子さんも、小作農家の娘だった。

小さいころから沢山家の手伝いをしていて、とても気が利く子だということで、中田家の女中になったそう。

住み込みで重病人の看病と家事をこなし、田畑の世話も人一倍頑張っている姿を見て、征二さんが惚れこんだ、と。

そんな大事な妻と子どもを残して出征するのだから、さぞ心配に違いない。

でも、征二さんは職業軍人。

それが自分の仕事だと誇りを持っていた。


一方で、赤紙ひとつで召集された人達は、ある日突然戦地へ行かなくてはならない訳で。

戦争がどんどん激しくなるにつれ、今までは召集免除だった体の弱い人や障害のある人にまで赤紙が届いたそう。

うちのおじいちゃんも、片目を失明しているのに徴収されたって言っていた。

片目しか見えなかったら、銃なんてほとんど使えないというのに。
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