オトナの秘密基地
「和子、調子はどうだ?」


薄ら笑いを浮かべて、茶の間へ現れたのは、征二さんのいとこ。


「正さん……」


ひざに乗っていたカツヤが、私にぎゅっとしがみついてきた。

カツヤのそのしぐさから、正さんに対して良い印象を持っていないことが手に取るように解る。


「征二が出征して、寂しいんじゃないかと思ってね。

慰めに来てやったぞ」


和子さんは、完全に見下されているようだった。

でも、征二さんから聞いた話だと、正さんも和子さんに言い寄っていたとか?

どちらにせよ、あまり関わり合いになりたくなかった。


「大丈夫です。

私にはカツヤがいますから……」
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