オトナの秘密基地
私に縋り付いていたカツヤが、正さんをじっと見つめたまま、震えていた。


「何だ、文句があるなら言ってみろ」


大きな男に向かって、小さいカツヤが言える訳もなく。

ただ私にしがみついて

「おっかいよぉ」と囁いた。


「いいかカツヤ、お前は俺に逆らうな!

今度逆らったら、これの二倍だぞ」


危ない、と思った時にはもう、ばしん、と大きな音が響いた。

カツヤの小さな頭を、正さんの大きな手が容赦なく叩く音だった。

驚いたカツヤは、大声で泣き叫ぶ。

小さな頭をよしよししながら、私は怒りに震えた。

こんな小さな子を怯えさせて、優越感に浸るような男は許せない。


「和子もちゃんと躾けとけ。

目上の者は敬えってな、分かったか!」
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