オトナの秘密基地
もう、我慢の限界だった。

身体をしっかり起こして、正座をし直す。

泣きじゃくるカツヤを抱っこして、そのまま目線は正さんへ。


「今の行動で、正さんはカツヤを大事に育てられる人ではないことがよく分かりました。

今度もしこんな事をしたら、私にも考えがあります」


「学のないお前の考えることなんて、ろくでもない事に決まってる!」


……まだそれを言う訳!?

『中の人』はこれでも一応経営学を専攻した身なんだから、舐められてたまるもんですか!

すかさず、頭の中で作戦を練る。


「では、試してみましょうか。

征二さんの上官に、正さんが兵役逃れをしているとお知らせしましょう。

すぐに軍医が派遣されて、徹底的に調べられるでしょうね。

元気な正さんが仮病で兵役逃れをしたと知ったら、この集落の人達は一体どう思うでしょう」
< 152 / 294 >

この作品をシェア

pagetop