オトナの秘密基地
明らかに怯んだ正さんへ、これでもかと追い打ちをかける。

この先も、和子さん達に危害が加えられずに済むように。


「前科者になった挙句、無一文で放り出される覚悟がおありなら、どうぞひとおもいに殺してください。

考え直すのであれば、どうかこれ以上私達に構わず、そっとしておいてください」


「……」


私の襟首を掴んでいた手から、力が抜ける。

これなら、こちらの提案にも乗るはず。

こういう相手には、アメとムチで対応するのが正解。


「そっとしておいてくださるのであれば、正さんにも事情がおありのようですし、差し上げたいものがあるのですが……」


こちらが美味しそうな話を持ち出した途端、正さんはあっさりと手を放し、それまでと態度を変えて、猫なで声を出してきた。


「そうか和子、さすが物わかりがいいじゃないか。

で、何をくれるんだ?」
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