オトナの秘密基地
「か~しゃん、おはよぉ」


準備が整った頃、カツヤが起きてきた。


「おはよう、カツヤ。

今日はお弁当を持って探検ごっこをしましょうか」


「たんけん?」


「そう。母さんが隊長だから、カツヤ隊員はしっかり働いてね。

ちゃんとできたら、おいしいごほうびをあげますよ」


「わ~い、おにぎりだ!」


何も知らないカツヤを守るため、今日の私は嘘をつく。

大きなお腹で走るのは危険なので、早めに防空壕へ行こうと思った。

朝ごはんを食べてから、重箱と水筒を持って、防空壕へと急いだ。

途中の小道で、いつものように赤く熟したグズベリーの実を摘むと、ポケットにしまいこむ。

空はどんよりとした雲がかかっていて、生暖かい湿った空気の流れを感じた。
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